研究概要 |
植物根の機能を遺伝育種学的立場から究明するため,イネ品種オオチカラのM2集団から短根突然変異体RM1を既に選抜し,その遺伝解析を行った.その後,より多くの突然変異体を収集するためにIR8のM2集団から短根突然変異体の選抜を再度試みたところ,RM1と異なる新たな短根突然変異体が得られた. 新たなに選抜した短根突然変異体LM10の種子根や冠根の長さは野生型IR8に比べ顕著に短く,かつLM10は従来の短根突然変異体RM1とも異なっていた.LM10とその野生型とのF1の根長は野生型とほぼ同じであった.F2における根長の分離を調べたところ,野生型と短根型の比は3:1,15:1のいずれにも適合しなかった.そこでLM10/IR8のB1F1における根長の分離を調べた結果は,F1を花粉親にしたときの野生型花粉と短根型花粉との比が6:1であること,並びにF2における分離比が13:1になることを予想させた.またF2集団からランダムに養成したF3系統における根長の分離はF2での分離比が13:1になることを裏付けた.これらの結果からLM10の短根性は単一の劣性遺伝子(srt-2)よることが明らかになった.さらに短根遺伝子srt-2と他の短根遺伝子rt及びsrt-1との対立性を検討したところ,srt-2はrt及びsrt-1とは異なる遺伝子であることが明らかになった.
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