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1993 年度 実績報告書

オオムギの雑種不稔に関する遺伝・育種学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 05660007
研究機関九州大学

研究代表者

小西 猛朗  九州大学, 農学部, 教授 (70033115)

キーワードオオムギ / 雑種不稔 / 重複遺伝子 / 地理的分化
研究概要

オオムギの場合,遺伝子支配による雑種不稔の報告は未だない.著者はオオムギの多くの交雑実験の中で,中国の「大冶1」と「Mota 10」を含むエチオピア系統のとの雑種が部分不稔を示すことを見い出した.そこで,「大冶1」と「Mota 10」を検定親として種々の交雑実験を試みた.
1)正逆交雑F_1の種子稔性はいずれもおよそ75%と低下し,F_2では可稔型と不稔型の分離が7:5の分離比に適合した.さらに,戻し交雑ではF_1を雌親にしたときにのみ交雑稔性が約75%に低下したが,逆交雑では正常な交雑稔性を示した.以上の結果から,この雑種不稔は細胞質の差異によって影響されることなく,2種の重複遺伝子(1fgおよび1fg2)によって交配され,両劣性遺伝子をもつ雌性配偶子のみが不稔となると結論した.
2)雑種不稔に関与する遺伝子の地理的分化を調べるために,「大冶1」と「Mote 10」を世界の多くの品種や近縁野生種spontaneum種の系統と交雑し,それらのF_1の稔性を調べ,各品種や系統の遺伝子型を推定した.「大冶1」と同じ遺伝子型1fg Lfg2をもつ品種は中国をはじめ,朝鮮半島や日本に分布していた.これに対して,「Mota 10」の遺伝子型Lfg 1fg2をもつ品種は1例を除き,すべてエチオピアでみられた.両優性のLfg Lfg2遺伝子型は世界に広く分布するとともに,近縁野生種もこの遺伝子型であった.この結果に基づき,雑種不稔に関与する遺伝子的分化について,つぎのように推論した.すなわち,オオムギの始原型はLfg Lfg2遺伝子型であり,世界に伝播する過程で,東アジア(おそらく中国)においてLfg→1fgの劣性突然変異が,エチオピアにおいてLfg2→1fg2の変異がそれぞれ独立に生じたと考えられる.

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] Konishi,T.: "Genetic analysis of hybrid sterility in barley" Barley Genetics Newsletter. 21. 51-53 (1992)

  • [文献書誌] 福嶋,〓久: "オオムギの雑種不稔に関与する遺伝子の地理的分布" 育種学雑誌. 43(別2). 193, (1993)

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公開日: 1995-03-23   更新日: 2016-04-21  

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