圃場条件下におけるダイズとラッカセイの葉の調位運動について、乾物生産に大きく影響を及ぼす受光量、そして調位運動と関わり合いの大きい葉温、蒸散速度の点から検討した。また、植物体の水分状態と葉の調位運動との関係をみるため、中国新ウイグル自治区石河子市のコンクリート枠で水分ストレス条下におけるダイズの葉の調位運動と葉温、蒸散速度との関係についても検討した。 葉温は葉の調位運動と蒸散によって制御され、これらの要因の係わり方は品種間で異なるものと考えられた。葉温を主に調位運動によって、調位運動と蒸散によるもの、葉温を余り制御できないものが認められた。ラッカセイの場合もダイズと同様に、葉温は葉の調位運動と蒸散によって制御され、その関係は品種間で異なるものと考えられた。ただしダイズと異なり、蒸散能力の高い品種は昼間でも太陽光線を受ける動きをしていたものと考えられた。土壌水分条件が変化することにより、葉の調位運動に加えて葉温および蒸散速度の対応が品種間で大きく異なることが認められ、葉温と密接に関係していた。葉温の制御を主に葉の調位運動で行っているタイプ、主に蒸散で行っているタイプ、両方によっているタイプが認められた。両作物ともLA1が少なくとも4程度までは太陽光線と垂直になろうとする調位運動をいかに長い時間続け、受光量を増大することが乾燥生産向上にとり重要であるものと考えられた。一方、乾燥地でかん水量が制限され、厳しい水分ストレスが頻繁に起こるような条件下では、ストレス回避の運動として太陽光線を避ける調位運動によって葉温の低下を図り、蒸散を抑えるタイプの品種が適応性が高いものと考えられた。
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