トマトの葉と花序の配列は、主茎上においても仮軸上においても、基本的なモデルが示されないまま、いくつかのパターンが提案されてきた。申請者らはこれまでの研究において、主茎上の葉序は開度法で示すと3/8、斜列法で示すと3:5であることを明らかにしてきた。平成5年度の研究では、維管束走向と葉と花序の配列との整合性を調べたところ、両者の間に合理的な整合性が認められた。 申請者らが示したトマトの葉序は、従来述べられていたものと全く異なる新しい知見である。この研究結果は、従来言われていたトマトの様々な維管束走向のパターンを統一的に捉えることができるとともに、申請者らが明らかにしてきた葉と花序の配列の正当性を裏づけるものであることが示された。 維管束内を移動する光合成産物の転流、分配については、トマトにおいても詳しく調べられているが、葉序並びに維管束走向システムを正しく捉えていないために、その解析にいくつかの問題点を含んでいた。本研究で得られた成果をトマトにおける光合成産物転流や、転流物質の糖代謝の研究に適用することによって、解析の正確さが格段に向上すると期待される。 このような研究は、申請者がこれまで行ってきたメロンとキュウリの光合成産物転流経路と転流物質の糖代謝で示してきた研究を除いて、国内においても国外においても見あたらない。現在、トマトの維管束走向システムと光合成産物の転流経路との関係について研究中である。
|