研究概要 |
キャピラリガスクロマトグラフの導入により,カキ果肉に含まれる揮発性物質の分析が可能となった。そこでまず,果実の切断間からヘッドスペースガス中に揮発する成分を多孔質ポリマー樹脂に吸着させたのち,ガスクロマトグラフに加熱導入する方法を試みたが,空気中の夾雑物の混入やゴーストピークの存在などの問題があり,分析が困難であった。 つぎに,多孔質ポリマーに吸着させた物質をエーテルなどの有機溶媒で再抽出して分析する方法を検討したところ,上記のような問題点はこの方法の方が少ないことがわかった。 しかしながら、花などから揮発する成分に比べ、カキの果肉切片から揮散する物質は量的に非常に少なく,相当長時間のトラップが必要であった。サンプルをあまり長い時間空気中(捕集容器中)におくと,劣化してその風味に変化がおこることも考えられるので,この点について現在解決策を模索中である。 揮発性成分の定量分析と同時に官能検査による品質評価を行った。その結果,同一品種の渋ガキでの脱渋の方法によって脱渋後の果実の品質や食味は相当異なることが明らかとなった。また、カキ果実の食味には果肉の硬さが重要な役割を果しており、適度にやわらかい果肉をもつ果実が高い評価を得る傾向にあることがわかった。現在,同じような傾向が他の渋ガキ品種にもあるかどうか検討を進めているところである。
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