研究概要 |
培養液中のK/Ca比、NH_4-N濃度の違いがCa吸収に及ぼす影響およびゴールドスペック(GS)と尻腐れ発生の関係を明らかにするため、実験1では4段階のK/Ca比(0.5,1.0,1.5,2.0)の、実験2では4段階のNH_4-N濃度(0.0,0.7,1.3,2.0me/l)の、実験3ではNH_4-N濃度(0.0,3.9me/l)とK/Ca比(0.5,2.0)を組み合わせた培養液を用いて、品種‘桃太郎'と‘June Pink'をロックウール栽培した。(実験1)培養液のK/Ca比が0.5から2.0に上昇するにつれ、尻腐れ発生率は増加したが、GS指数は減少した。また、Caの累積吸収量は、‘桃太郎'では約1/3に、‘June Pink'では約1/2に減少したが、果実中のCa含有率は両品種とも約7/10となった。(実験2)培養液中のNH_4-N濃度が増加するにつれ、尻腐れ発生率は増加したが、GS指数は減少した。Caの累積吸収量は両品種とも約7/10に減少し、果実中のCa含有率は約1/2に減少した。(実験3)NH_4-N濃度3.9me/、K/Ca比2.0の組み合わせにより尻腐れ発生は増加し、GS発生は低下した。 以上の結果、培養液のK/Ca比やNH_4-N濃度の上昇により、Ca吸収の抑制と果実中のCa含有率の低下がみられ、それに伴い尻腐れ発生率が高くなった。GSは尻腐れの発生が少なく、果実のCa含有率が高いときに発生が多く、同一品種ではGSと尻腐れ発生に負の相関があった。
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