研究概要 |
不良環境に耐性を有する野菜の育種および実際栽培への応用を目的として、本研究では野菜栽培における紫外線の影響について検討し、以下に示した結果を得た。 1.B領域紫外線の季節的変動:一日の紫外線量の変動は光合成有効放射量とほぼ並行に推移し、その傾向は晴天日に顕著で、曇天日の紫外線量は晴天日の30〜35%であった。また、夏至を挟んだその前後の紫外線量は冬至前後の2〜3倍であった。 2.カブを用いて生育に及ぼす紫外線除去の効果、および紫外線B(UV-B)補光の影響をみた。 (1)400nm以下の紫外線を除去したフィルムを被覆した場合、対照区(紫外線透過フィルム被覆)に比較して葉柄の伸長による草丈の増加が、紫外線量が豊富な春から夏の時期にかけて認められた。 (2)UV-B補光は葉のブロンズ化、植物体の矮化をもたらし、強く生育を阻害した。単位面積当たりの光合成速度は対照区とほとんど変わらず、光合成機能の保護メカニズムが働いていることを示唆していた。 レタス(cv.岡山サラダ)を用いて生育および光合成活性に及ぼすB領域紫外線の影響をみた。播種後19日の苗に照射強度および照射時間を変えて1週間紫外線処理を人工光下(蛍光灯10000Lux16時間日長,22℃)で行った。紫外線の影響は展開葉で顕著に現れ、葉令とともにその影響は大きく、また若い葉は厚く細長くなり、濃緑色で、葉縁が内側にカ-ルし、立ち上がる傾向を示した。また、紫外線処理を暗期に単独で行った場合のほうが、蛍光灯と共に紫外線を照射した場合よりも、生育阻害の影響が強く現れた。気相型酸素電極を用いて最大光合成速度、クロロフィル量およびアントシアニン量を調べたところ、紫外線照射により単位面積当たりの光合成速度、クロロフィル量、およびアントシアニン量が増加傾向を示した。
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