研究概要 |
ハイドランジアは秋に花芽分化し,冬の低温期を経て休眠が破れ,温度の上昇とともに花芽の発達が再開し初夏に開花する.主要な鉢物花卉であり,主として促成栽培による3・4月出荷が行われている.本研究は,ハイドランジアで,新しい手法による秋から初冬開花の作型を開発することが目的である.秋から初冬に開花させることは,現在,抑制栽培によって可能である.しかし,そのためには長期間の冷蔵が必要であり,また,促成栽培では,花芽分化時期が10月であり、休眠打破のための冷蔵も1か月余を必要とすることから困難で,せいぜい2月にしか開花させることはできない. ハイドランジアにおいて,春の栄養生長開始期を早めれば,5月に花芽分化を開始し,休眠せず8月に開花することが報告させている(森田ら,1980).このことは,花芽の発達・開花のために休眠期がなくともよいことを示している.自然条件では秋に花芽分化し同時に休眠するが,休眠が回避できれば冬季に開花させることは容易であろう.加えて,花芽分化時期を早めれば秋の開花も期待できる. 平成5年度の実験結果は以下のようであった.春に花芽分化した芽は開花まで休眠せずに発達することを確認した.即ち,前年に養成した株を温室で萌芽させ,2月下旬に切り戻して栄養芽を伸長させたところ,5月中旬に花芽分化し,一部ではあったが7月中旬に開花した.その条件をシュミレートする意味で夏に2ないし4か月の冷蔵をおこない,秋に花芽分化させた場合の休眠回避を期待したが,若干の生長促進効果がみられただけで,露地に置いた対照区と同様に休眠した.
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