研究概要 |
本研究の目的は,ハイドランジアで,新しい手法による秋から初冬開花の作型を開発することである.平成5年度および6年度に次のことが確認された. 1.春に分化した花芽は,秋に分化した花芽と異なり発達の停滞期がみられず夏に開花した. 2.秋に分化した花芽の発達の停滞を回避することを目的として,1の条件をシュミレートし夏に株を冷蔵したが回避は困難であった. 3.秋に休眠する二・三の植物で,夏の高温下で生育することが休眠化の要因の一つとしてあげられている.また,明らかに夏の高温により休眠するものもある.ハイドランジアの休眠化の条件を検討した結果,ハイドランジアは高温下で生育してもしなくても涼温・短日によって休眠し,夏の高温下で生育することは直接休眠に結びつくものではないことがわかった. 平成7年度は,上記の知見を踏まえ,春の花芽分化による秋から初冬開花の作型を想定し,春の花芽分化を確実にすることを主眼として実験を行った.花芽分化には涼温期が適することから晩春までに新梢を充実させ,また,前年に花芽分化促進効果を確認したバクロプトラゾール処理を行った.4月下旬より花芽分化がみられ,分化率100%を期待できることが明らかとなったが,新梢の生長が抑制され花芽の発達も停滞して発蕾・開花は散発的になった.このような現象は冷蔵によっていくらか解消されたが,発蕾や開花は不揃いで開花状態も正常ではなく花径が小さく小花数も少なかった.ハイドランジアの春の花芽分化,その後の発蕾・開花までの一連の生長・発育については,栄養生長期の温度等の管理条件も含め検討課題が残されている.
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