研究概要 |
わが国のスノキ属植物のなかには、花材として利用されているものもあるが、同属の北米原産のブルーベリーの場合、栽培目的が果実生産に限られている。ブルーベリーは花穂のボリューム、色、花持ちが優れ、また、若木時代から花芽の着生が良好なことから、切り枝や鉢花栽培が可能になれば栽培目的が広がり意義あるものと考える。本研究は、ブルーベリーの鉢花並びに花材生産、特に年内促成栽培を行う場合の基礎資料を得る目的で、山陰地方における花芽分化発達過程を調べるとともに、休眠打破のための冷蔵や開始期や期間並びにその促成効果について調査した。 1.花芽分化の発育過程:2系統6品種を用いた。ハイブッシュ系は6月上旬に早生の‘Northland'や中生の‘Rancocas'の一部に花芽分化開始個体が観察された。同系晩生の‘Jersey'は前2者より花芽分化開始が約1カ月遅れた。一方、ラビットアイ系の花芽分化開始期は、早生の‘Woodard'が8月上旬、中生の‘Homebell'が8月中、下旬、晩生の‘Tifblue'が9月上旬で、ハイブッシュ系より約2か月遅れた。 2.冷蔵期間と促成効果:ハイブッシュ系‘Northland'の成木から採取した50〜60cmの切り枝を用い、9月21日、10月11日からそれぞれ30,40,50,60,70日間、また、11月10日から30日間貯蔵(4℃)する区を設けた。各区の切り枝は、出庫後15〜25cmに調整したもの(小枝区)と調整しないもの(大枝区)に分け、いずれも恒温室内(20±1℃)で促成した。その結果、出庫から発蕾、開花までの期間は、冷蔵期間が長くなるほど短縮された。9月21日から冷蔵された切り枝では40日以上冷蔵の大枝区で、また、10月11日の場合は30日以上の大枝区で60%前後の開花率を示した。なお、これらの区においては12月下旬までに開花期に達した。
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