1.ユーレカレモン×ユズ、リスボンレモン×カボスから得られた三倍体実生の花粉稔性が高かったため、これらの三倍体実生(3雑種個体)を交配に用いた。二倍体の単胚性品種(ハッサク、スイートスプリング、ヒューガナツ等)にこれらの花粉を交配したところ、落果の多い品種も見られたが、比較的結実し、約300果実を得た。これらの果実に含まれる種子は少なく、1果当りの平均種子数は0.8〜1.2個であった。しかしスイートスプリングを種子親にした場合3.5〜5.5と著しく多くなった。得られた種子のうち発芽可能な完全種子は約半分の200種であり、他の種子の生育不良な胚は胚培養を行って実生化している。実生化率は約20%であった。 2.昨年度にすでに発芽生育している(2x×3x)から得られた実生について根端の染色体調査を行ったところ染色体数が確認できた個体は2n=18の2倍体がほとんどであり、四倍体が少数確認された。目的とする異数体(特に2n+1)は出現頻度がかなり低いものと推察された。本年度に育成中の実生の染色体調査を現在進めているが、今までの所、トリソミー個体は確認していない。 3.以上の知見をもとに、本年度は種子が比較的多く得られる交配を進め、多数の実生を育成すべく、計画を進めている。相同染色体は数本(比較的大きい染色体)確認できる様になったが、さらに各種の方法を用いて検討する予定である。
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