純水および種々の水溶液に対する高圧電場処理を行って水の蒸発に対する影響を調べた結果、蒸発促進に対して線状電極の方が板状電極を使用した装置より効果的であること、さらに、処理後の蒸発抑制効果の有無を調べた結果、蒸発潜熱の影響が大きいことなどを見出した。また水に対する反応を明らかにするため、空気中のガス組成の影響を調べ、炭酸ガスや酸素の影響は対照区とほとんど差がないことが明らかになり、前者をまとめて報告した。また果実、野菜の保存に関する研究では呼吸を抑制する効果が認められたが、エチレンの生成量は有意な関係は認められなかった。しかし、いずれの果実、野菜でも何らかの影響があり、今後の発展が期待できる。クライマクテリック前およびクライマクテリック後の果実でも呼吸抑制の効果があり、またピ-マンでは緑色保持と開封後の日持ちがよいことなどについて発表するとともに学会誌に印刷中である。次に長期貯蔵が困難なイチゴの保存のために高圧電場処理を行い、その効果を検討した。貯蔵で一番問題になるカビの発生を抑制することができ、3ヵ月以上貯蔵可能であった。貯蔵果の化学成分についてHPLCで糖や有機酸等を分析した結果、処理区と無処理区とは有意差はなかった。しかし風味については少し問題がありそうである。一方種子の発芽や幼芽に対する高圧電場処理効果を研究し、電場強度や処理時間によってその効果は異なること、さらに種子の大きさにも依存することが明らかになり、これらの結果をまとめている。
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