研究概要 |
この研究は,これまでのツバキ属植物にはみられない同質4倍体品種の育成を目的としている。倍数体品種には巨大性,耐寒性,耐暑性や変異性が数多くみられるが,ここでは,特に巨大なツバキの出現を期待している。今年度は,材料植物の収集,同質3倍体を母系とする交雑および同質2倍体を用いたコルヒチン処理を実施したが、現在の段階では形態的には目的とする個体は得られていない。材料の収集は同質3倍体品種群を持つといわれるヤブツバキ(Camellia japonica)について行い,収集した10品種から4倍体育成の材料となる同質3倍体品種を選抜し,平成5年度に購入した光学顕微鏡を用いて,それらの同質3倍体品種個体の染色体数および核型などについて確認による同定を急いでいる。次に同質3倍体個体を母系とする品種間交雑および自家受粉による交雑によって結実した種子を得ている。一方、すでに同質3倍体と推測される品種から収集した種子を用いて,実生によって得た個体から選抜した数十株を培養した。それらの株から同質4倍体個体の選抜を根端細胞の分裂像を光学顕微鏡で顕鏡することによって行ったが、明らかに同質4倍体である個体は未だ確認できていない。さらに,同質4倍体を得るためには2倍体品種の幼苗の生長点にラノリンペーストを用いて,0.2%コルチヒチン処理を行った。今年度は形態的および生態的諸特性について,また顕微鏡を用いた染色体数,核型についての調査は実施していない。
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