庄内地方の放牧地で糞処理に最も効率的な種を特定するため調査地の放牧地で放牧開始から放牧終了時期まで糞虫類成虫の季節消長を調査した。その結果、6月はオオマグソ、7月はカドマル、8月はツノ、9月はフトカド、10月はオオフタホシと各月により糞処理に効率的な種が異なることが予測された。そこで、これらの種が糞処理におよぼす影響を調査するため、山形大学付属農場に実験的に1Kgの糞塊を設置し、そこに糞虫類成虫を付け加えケージで覆った実験装置を作成し、糞設置後5日目の地上部に残っている糞量と地下部に埋めこまれた糞量を測定した。その結果、最も効率的に糞処理をする種はオオフタホシとオオマグソでそれ以外の種は糞処理能力が比較的低いことが明らかとなった。繁殖期に糞処理能力が最も高いと予測されたが、それは種により異なりマグソコガネ属では繁殖期に糞処理能力が高いが、エンマコガネ属のように1シ-ズンに越冬成虫と新成虫が出現する生活史を持つ糞虫では繁殖期と越冬前とであまり差はなく越冬前でも糞処理をしていた。前年度の結果では、放牧地で夏に糞が多く残ることが示されたが、今年度の要因実験の結果から、これは夏に繁殖するカドマルの埋め込み量が少ないことが原因であるように思われた。
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