研究課題/領域番号 |
05660050
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
藤崎 憲治 岡山大学, 農学部, 助教授 (10228976)
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研究分担者 |
佃 律子 岡山大学, 農学部, 助手 (10032989)
中筋 房夫 岡山大学, 農学部, 教授 (20109317)
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キーワード | カンシャコバネナガカメムシ / ホソヘリカメムシ / フタモンホシカメムシ / 翅多型性 / 翅型 / 卵休眠 / 生活史形質 / 移動性 |
研究概要 |
以下の3種のカメムシ類の翅多型性や他の生活史形質に関する生態遺伝学的研究を遂行した。 1.カンシャコバネナガカメムシについては、まず翅多型性と卵休眠との関連について調べられた。その結果、本種の卵休眠は25℃以上の高温に反応して休眠が打破される、いわゆる日和見性を示すが、その程度は短翅型の産下卵の方でより強いことが分かった。このことは、移動性と休眠性といった2つの重要な生活史形質が互いに独立ではなく、何らかの相関をもって進化してきたことを示唆している。次に本種では、翅多型性において雌雄間に正の遺伝相関が存在することが明らかとなった。しかし、雌雄ともに短翅化には性的成熟が早まるなどの適応度上の利益が存在するので、本種の翅多型性の進化は、それぞれの性における適応度上の利益と互いの遺伝相関が関与した、かなり複雑なものであることが推察された。 2.ホソヘリカメムシについては、主に卵サイズと成虫体サイズの変異の適応的意義について研究した。その結果、大卵由来の幼虫は発育が早い上に羽化率も高く、かつ大きな成虫になることが分かった。また、体サイズに関する選抜を行ったところ、選抜に対してよく反応するだけでなく、体が大きな系統で産卵数が増えたり、産卵前期間が短縮するなど、他の生活史形質の相関反応も存在することが明らかとなった。今後は、体サイズと移動性との遺伝相関について調べる必要がある。 3.フタモンホシカメムシについては、相対翅長を長くする環境要因として、こみ合い、高温、及び短日が関与していることが分かった。このことの適応的意義や遺伝的要因に関する研究は今後の課題である。
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