研究概要 |
この種の研究は,選抜法,耐性植物との細胞融合,耐性遺伝子の導入の3手法に大別できるが,さしあたって,ここでは,まず培養細胞レベルでの選抜法および細胞融合による除草剤抵抗性作物の作出を試みた。選抜法では,芝草であるベントグラス(品種ベントパター)を用い,除草剤グリホセートに対する抵抗性個体の作出を目的とした。まず,この植物からのカルス誘導を試み,2,4-D0.5〜2mg/1の条件で効率よくカルスを得たが,元植物体からの移植部位は,芽や根よりも種子部がすぐれていた。2,4-D1.0mg/1,ベンジルアデニン1.0mg/1でのカルス形成率は低いが,植物成長調節剤フリーの培地に移したあとの植物体再生率は高かった。この植物のグリホセートに対する50%成長阻害濃度は5.0×10^<-5>Mである。このグリホセート濃度で懸濁培養細胞を寒天培地上で選抜したところ,グリホセート無添加培地に比べて役10%のカルスコロニーが耐性で生存した。この中から,さらに耐性のものを選抜中である。一方,除草剤パラコート耐性ヒメムカシヨモギの抵抗生因子を,同じキク科作物のヒマワリに細胞融合的に導入することをも試みた。スミチームCおよびスミチームAP2で作製した両プロトプラストの電気的融合は成功したが,融合細胞からの植物体再生には未だに成功していない。
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