研究概要 |
ヘビノネコザについては重金属汚染地の富山県里部市で植物を採取して、現地の土壌でそのまま栽培したものと乾土1g当りCdを10Mg添加したものとの2区を設け2カ月間生育させた。また、クワとトウモロコシは発芽後10日目から本学農場の土で10日間培養したのち、Cdを乾土1g当り10μgを添加して2カ月間生育させた。その後、植物を採取して、ただちに脱イオン水で軽く洗浄し、ついで氷上で0.25Mトリス塩酸バッファーを加えてホモゲナイズし、200×gで15分、600×gで10分さらに10,000×gで30分と順次遠心分離し、各残さ画分をそれぞれF_1、F_2、F_3とし、10,000×gの上澄をF_4とした。また、F_4の一部はさらにセファディックスG-10とG-50を用いてゲルロ過を行った。 クワおよびトウモロコシ葉中のCd濃度は低いので、各画分中の分布傾向は検討できなかったが、ヘビノネコザではCd添加区も無添加区も、その50〜60%がF_1画分に分布し、F_2画分と合わせると実に80%にも達していた。Znについてはクワにおいても各画分毎に分布割合が検索でき、その50〜60%が可溶性成分のF_4画分に分布していた。これに対して、ヘビノネコザではCdと同様ZnでもF_1画分に50〜60%分布し、F_2画分と合わせて実に80%に達していた。この結果から重金属耐性の強いヘビノネコザではまず細胞壁成分にCdやZnが捕捉されると考えられ、前年度どの溶媒抽出の結果と一致していた。 また、ゲルロ過による分析では、可溶性成分のうち分子量700以下の分画と分子量約15,000の分画にピークがみられ、これらの物質について分析を行っている。
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