重金属による環境汚染は、これまでの局地的な高濃度汚染から広域的な汚染、さらには地球規模の汚染へと様相を新たにしている。これまで、測定方法の限界から自然賦存レベルのカドミウム濃度についてはデータの集積がほとんどなされてこなかった。そこで、本研究では日本における河川水、土壌および産米中のカドミウムの自然賦存とバックグランド濃度をフレームレス原子吸光法により測定し、その概要を知ろうとするものである。 平成5年度においては、これまで関東地方を中心に行われてきた調査を、東北、および中部地域にまで広げ、主要8河川の河川水、さらに各地の湧き水についてカドミウム濃度を測定し、自然賦存とバックグランド濃度の範囲を特定しようとした。また、各地の未耕地と農用地の土壌を採取し、土壌中のカドミウム濃度の測定を行った。産米については平成5年度が特異的な異常気象の年度であったことから、サンプリングを平成6年度に集中的に行うことにした。 平成6年度において北海道と九州地区の河川水と土壌、全国規模での産米の調査を実施し、表題に示したような日本における河川水、土壌および産米中のカドミウム濃度の実態を把握出来ると考える。
|