前年度の実験の結果から、インゲンの2次根に対する極初期の根粒形成には、一定濃度以上の土壌窒素が抑制的に作用するほか、交換性マグネシウム含有量が低いことが根粒形成を抑制している可能性が考えられた。そこで、府中畑黄色心土を例に、マグネシウム添加水準を変えた場合の根粒形成について調査した。植物体の生育に対して低水準のマグネシウム添加は正の効果を、高水準の添加は負の効果を示したが、根粒形成に対してはマグネシウム添加は一貫して負の効果を示した。従って、土壌の交換性マグネシウム含有量の低さ自体は根粒形成の抑制要因になってはいないことが示された。 培地の硝酸態窒素水準と根粒形成数の関係を調査し、畑地土壌・バ-ミキュライトのいずれでも硝酸態窒素の増加は根粒形成数を減少させ、土壌硝酸態窒素が根粒形成抑制要因の一つになっていることが確認された。 畑地土壌のオートクレーブ滅菌と洗浄による硝酸態窒素除去の組み合わせは根粒形成数を増加させたが、バ-ミキュライトにおける根粒形成数よりはかなり低い水準にとどまり、土壌微生物が強い根粒形成抑制要因にはなっていないことが示された。 糖とセルロースの添加による土壌硝酸態窒素の削減は根粒形成数を減少させることが明きらかとなり、土壌微生物の密度の上昇ないし活動の活発化も根粒形成抑制要因の一つになっている可能性を示唆した。 バ-ミキュライトと化学性が著しく異なり物理性が似ているパ-ライトを用いて根粒形成数を調べ、バ-ミキュライトを上回る根粒形成が認められ、畑地土壌での通気性の相対的低さが強い根粒形成抑制要因となっている可能性を強く示唆した。
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