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アルミニウム(Al)は酸性土壌中で可溶化し、作物成育を阻害する。可溶化したAlは複雑な形態のイオンとして存在し、どのイオン種の毒性が強いかという点に関し未だ議論がなされている。本研究では、同一pHで、異なるAlイオン種(Monomer Al、Polymer Al)を培養液中に形成させ、両イオンに対するイネ、オオムギの生育反応を比較、検討した。
0.2mM AlCl_3溶液の塩基度(OH/Alのモル比)が高くなるにしたがい、Polymer Alイオンの存在比率が増加し、各塩基度のAlCl_3溶液においては、pHが3.0-4.2の間では一定のAlイオン存在比率が認められた。塩基度0及び2のAlCl_3溶液をそれぞれMonomer Al、Polymer Alイオン処理液として、Al濃度が0、10、20、40、80μMの溶液(pH4.0)を用いてイネとオオムギを5日間栽培した結果、相対生育量は、オオムギよりもイネで大きく、Al濃度の上昇で低下し、その低下はPolymer Alイオン処理よりもMonomer Alイオン処理の場合に大きかった。Monomer Alイオンを一定濃度にしてPolymer Alイオンを上乗せして作成したAl処理液においても、Polymer Alイオン処理に比較して、Monomer Alイオン処理においてイネ及びオオムギの生育阻害が強く現れた。しかし両試験の場合とも、植物根のAl含有率はMonomer Alイオン処理よりもPolymer Alイオン処理において高い傾向が認められた。
以上のことから、同一pH条件下でのAlイオン種の毒性は、Polymer AlイオンよりもMonomer Alイオンの方が強く、異なるAlイオン種に対する耐性の植物種間差は同じであり、イネは積極的にAlイオンを排除していると考えられる。しかし、測定されたAl含有率のどれだけのAlが根組織中に侵入しているかは解明できず、今後はさらに正確な分析法に基づいて、Al耐性機構を考察する必要があると思われる。
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