研究概要 |
細胞内のCa^<++>の挙動は生命活動の活性度の重要な指標であることが認識されつつある。しかし植物細胞を取扱った研究は細胞壁の存在ゆえに極めて乏しい。申請者は花粉管細胞を古くから取扱っており、これを材料としてチヤのAlストレスに対する応答機構を、またAl適量供与による促進機構を新しい観点、蛍光Probe(Indo-1)の導入による蛍光分分析法によって細胞内Ca^<++>の動態を測定し、Alとホウ素(B)の植物栄養的類似性と相違性を明らかにしようとした。 1.チャの細胞,根組織のAlに対する応答機構のCa^<++>の挙動から検討 (1)花粉管細胞を用いての検討:花粉管細胞内Ca^<++>濃度は40時間まで経時的に増加した。AlのZOuM供与を行うと明らかに細胞内Caは上昇せず同程度の濃度を保った。 なお、Ca^<++>計算の基礎となるKd値を錯平衡より求めたところ158.69となった。従って計算式は〔Ca^<++>〕=158.69(R-0.04/2.58-R)1.89となった。 (2)培養根を用いての検討:培養根にFura2AMを供与し根中でのAl,Ca分布を調べた。その結果、Al処理ではCaのみより弱く汚れた蛍光が皮層細胞と内皮細胞の外縁部に表われた。 2.チャの細胞,根のAlに応答とカロース生成 (1)花粉管細胞を用いての検討:最近Alストレスがカロース生成を高めることが知られている。しかしチャ花粉管でのカロース生成はAlストレスに何ら応答しなかった。 (2)培養根を用いての検討:チャの培養根においてもAlストレスでカロース生成は何ら応答しなかった。しかしながらクレス培養根ではAlのストレスはカロース生成を増加させた。
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