研究概要 |
最近、細胞の活性度を細胞内のCa^<++>の上昇で評価する方法が注目されている。しかし植物細胞での研究は極めて乏しい。本研究はチャのアルミニウム(Al)ストレスに対する応答およびAlによる促進効果を蛍光色素(Indo-1AM)の取り込み、細胞内Ca^<++>の動態応答より検討した。 1 チャ花粉管細胞内のCa^<++>の測定法の確立 まず、Indo-1によってCa^<++>をnMオーダーで定量しうることを確認した。次いで錯生成平衡式からKd値を求め、158.69を得た。これを用い[Ca^<++>]=158.69(R-0.04/2.58-R)1.89を得た。元素による蛍光の影響のないことを知り、さらに自己蛍光の補正式を設定した。次いで花粉管細胞へのIndo-1AMのロードに及ぼすAlの影響をみた。2,4時間の2〜3μM Al供与で、細胞内Ca^<++>が高まり、400nMに達した。これらのことから、Alが何らかのシグナルとして働きCa^<++>を活性化すると推定した。 2 チャ花粉管細胞内のCa^<++>動態に及ぼすAlとホウ素(B)の影響 チャの花粉管細胞はAlの少量供与(3μM)で促進される。この濃度で細胞内Ca^<++>濃度が500μMから1μMに上昇した(B適量区)。Bを低濃度与えた場合、Alの5μM供与でCa^<++>濃度が約1μMと高くなり、Alの高濃度側にシフトした。一方Alを与えないでBを与えるとB濃度の増加と共に細胞内Ca^<++>濃度は高まり1μM近くなった。Alを適量(3μM)加え、B濃度を高めるとBの0.1μMまで上昇したが頭打を示した。これらのことはAlとBが生理機能において類似性のあることを示している。この応答はエリシターとしての可能性を推定した。 3 Alに対するカロースの生成応答 チャの分離根は何ら応答せず、クレス根で応答した。従って本研究を「微生物による酸性・Alストレスの軽減」へ多少移した。
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