フェレドキシン-NADP^+レダクターゼ(FNR)は可逆反応(Fd_<red>+NADP^+=Fd_<ox>+NADPH)を触媒するフラビン酵素である。FNRは光合成電子伝達系において最終段階に位置し、NADPHを生成すると考えられてきた。しかし最近FNRは非光合成器官にも存在し、Fd依存酵素反応に必要なFd_<red>を供給することが示唆されている。しかしながら後者の遺伝子構造やその発現・制御の機構については全く知られていない。本研究課題ではイネのFNRcDNAの構造と対応するFNR遺伝子の発現機構を解明することを目的として研究した。本年度には下記の成果が得られた。 (1)イネ葉と根由来のFNRcDNAのクローニングと塩基配列。オオムギ葉FNR抗体を用い、両cDNAライブラリーをスクリーニングした。それぞれ全長FNRcDNAをクローニングし、それらの全塩基配列を決定した。また両組織からFNRを単離精製し、成熟蛋白質のN末端アミノ酸配列を決定した。両者の特性を表にしまとめた。イネ葉と根のFNRcDNAの成熟アミノ酸配列の相同性は49%にすぎない。しかし前者と他の高等植物由来のFNRとの相同性は80%以上であり、光合成器官のFNRは単子葉、双子葉植物にかかわらず高度に保存されていることが判明した。 (2)FNRmRNAとFNR酵素活性の発現誘導。イネ根FNRcDNAをプローブとして、FNRmRNAの誘導を調べた結果、イネ根FNRmRNAの発現はNO_3^-によって誘導されること、またその酵素活性も誘導されることを見出した。 (3)結果【table】
|