研究課題/領域番号 |
05660102
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
太田 一良 宮崎大学, 農学部, 助教授 (70112315)
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研究分担者 |
中村 豊彦 宮崎大学, 農学部, 助教授 (90040857)
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キーワード | Aspergillus niger / Saccharomyces cerevisiae / イヌリン / キクイモ / エタノール / イヌリナーゼ / 並行複発酵 |
研究概要 |
本研究はエンド型イヌリナーゼ高産生変異株Aspergillus niger 817と高いエタノール耐性を示す野性株Sa-ccharomyces cerevisiae 1200 を使用する並行複発酵系を組立て、精製イヌリン及びイヌリンを貯蔵多糖として含有するキクイモから直接、短時間に高濃度のエタノールを生産することを目的とする。A.niger 817をイヌリナーゼ生産用液体培地で30℃、120時間振盪培養した液体麺(150ml)にイヌリン(シグマ社製)45g、硫安0.45g及びリン酸一カリ0.15gを添加した。この培地(初発pH5.0)にS.cerevisiae 1200を1×10^8/mlとなるように接種し、30℃で発酵させ、15時間後にイヌリン20gを追加した。不溶性のチコリとダイア由来のイヌリン(平均重合度はそれぞれ33.6と40.3)は急速に糖化、発酵され、生成エタノール濃度は48時間でそれぞれ19.6%(v/v)と19.5%、さらに72時間で20.4%と21.0%に達した。また、エタノール生成速度の最大値はそれぞれ6.2と6.0g/L/h、発酵終了液に残存する全糖量はいずれの場合も0.5%(w/v)以下であった。キクイモ乾燥粉末(全糖量77.4%、水分含量3.2%)を基質とした場合、15時間と24時間後にそれぞれ30gと20gのキクイモ乾燥粉末を追加した。生成エタノール濃度は3日間で18.2%(v/v)、さらに5日間で20.1%に達した。また、エタノール生成速度の最大値は6.0g/L/h、発酵終了液に残存する全糖量は2.6%(w/v)であった。生キクイモ破砕物(180ml、全糖量17.8%、水分含量76.2%)を基質とする場合、液体麺の濾液のエタノール沈殿を乾燥させたイヌリナーゼ粗酵素を糖化剤として用いた。15時間で発酵は終了し、生成エタノール濃度は10.4%に達した。発酵終了液に残存する全糖量は0.3%(w/v)であった。キクイモは未利用資源であり、大量栽培が可能であることから、今後キクイモを原料とした低コストの燃料エタノール生産が期待される。
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