研究課題/領域番号 |
05660110
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
応用微生物学・応用生物化学
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研究機関 | 熊本工業大学 |
研究代表者 |
新 隆志 熊本工業大学, 工学部・応用微生物工学科, 助教授 (50179066)
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研究分担者 |
尾山 廣 熊本工業大学, 工学部, 講師 (50221700)
村尾 澤夫 熊本工業大学, 工学部, 教授 (00081472)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1994
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キーワード | キチナーゼ / Vibrio alginolyticus / キトペンタオース |
研究概要 |
キチンはN-アセチルグルコサミンを構成単位とする巨大分子である。このキチンを加水分解して得られる高重合度キトオリゴ糖(4-8個)に多くの生理活性作用が明らかにされ、注目を集めている。現在、キチナーゼを用いた有効な製造方法が注目されているが、高重合度キトオリゴ糖を得るには高濃度の基質を有機溶媒存在下にて反応を行わなくてはならず、実用化には至っていない。そこで、申請者は、高重合度キトオリゴ糖を安価な基質であるコロイダルキチンより生産するべく、新規な高重合度キトオリゴ糖生成キチナーゼ生産菌のスクリーニングを行った。その結果、熊本県の有明海よりキトペンタオース生成キチナーゼを含む数種類のキチナーゼを菌体外に生産するVibrio alginolyticus TK-22株を分離することに成功した。酵素の精製は、培養ろ液11.5Lから硫安沈殿及び各種カラムクロマトグラフィーで行い、最終的に6.0mgの凍結乾燥標品を得た。酵素の分子量は、SDS-PAGEで66000、ゲルろ過では57000と算出され、酵素1%濃度溶液の280nmでの吸光度は11.5、当電点はpH4.3であった。精製酵素の反応最適pHはpH4.0と9.0の二箇所にあり、30℃、24時間の処理でpH5.0からpH9.0まで安定であった。また、最適反応温度は45℃であり、30分の熱処理で40℃まで安定であった。特に、基質特異性はユニークで、pH4.0ではコロイダルキチンをキトビオース単位に分解するが、pH9.0ではコイダルキチン及び(GlcNAc)_2、(GlcNAc)_4よりキトペンタオースを生成することが明かとなった。また、キチンオリゴ糖に対する作用機作を調べたところ、pH9.0のみで糖転移反応によってキトペンタオースを生成することが判明した。以上の結果を既知酵素と比較し、本酵素をユニークな性質を持つ新規なキチナーゼであると結論した。また、水溶液中の反応で低濃度のコロイダルキチンよりキトペンタオースが生成されることから、反応条件の検討により効率的なオリゴ糖の生産系が構築出来るものと考えられる。
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