研究課題/領域番号 |
05660119
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小清水 弘一 京都大学, 農学部, 教授 (90026518)
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研究分担者 |
富田 実 徳島県立工業技術セ, 応用生物課, 専門研究員
大東 肇 京都大学, 農学部, 助教授 (80026583)
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キーワード | 産膜酵母 / Zygosaccharomyces rouxii / ミソナオシ / グリセロ糖脂質 / モノガラクトシルジアシルグリセライド / ジガラクトシルジアシルグリセライド |
研究概要 |
最近食品の製造や保存過程で種々の害を及ぼす嫌気性酵母への有効な対策が望まれている。本研究では、味噌や醤油の製造・保存時に問題となる産膜性のZigosaccharomyces rouxiiを取り上げ、その皮膜形成抑制に有効な植物性天然物の探索を行った。 1.活性検定法の開発:YM食塩(10%)寒天培地および液体培地における皮膜形成阻害試験法を確立した。前者では、ペーパーディスク法にて皮膜形成阻止ゾーンの検定により、また後者では披検試料を含む桐材薄片の浮遊法における皮膜形成の時間的遅延度にて検定した。 2.植物性阻害剤の検索:本研究ではまずミソナオシを取り上げた。この植物は古来その名が示すように、劣化した味噌香味を回復させるものとして民間利用されてきた植物である。上記試験法にてその抽出物に有意な活性が示されたので、種々のクロマログラフィーにて活性物質の精製を行った。その結果、グリセロ糖脂質2種が単離・同定できた。両化合物はペーパーディスク法にて、100μg/ディスクで有意に活性を示した。 3.今後の展開:グリセロ糖脂質の活性は界面活性効果によりるものと考えられる。すでに種々の界面活性剤に膜形成阻害効果があることが報告されている。上記化合物の活性は、しかしながら、一般的な界面活性剤のいずれよりも強かった。一方、グリセロ糖脂質は植物の普遍的な膜構成成分である。試にミソナオシの近縁種や、他科の植物抽出物の活性を検討したところ、強弱はあるが、広く活性を示した。この結果はミソナオシの民間利用について答えておらず、この問題に対する化学的説明が残されている。現在、この点へのアプローチと共に、膜形成機構を解明する第一歩として、膜形成時および抑制時における菌体細胞壁成分の差異を検討中である。
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