殺虫活性を有するオカラミン類は分離菌Penicillium simplicissimum AK-40株をオカラで培養すると得られる新規なインドールアルカロイドである。その構造は、アゾシノインドール環とピロロインドール環がジケトピペラジン環を介して縮合した特異なものである。そこでオカラミン類の生合成経路に関する知見を得るために研究を行ない、以下に述べる成果を得た。 1)オカラミンAおよびB、Dの生産菌であるAK-40株のオカラ培養物を精査したところ、薄層上でオカラミンDと類似の拳動を示す二つのスポットを認めた。そこで、大量培養した後、溶媒抽出やカラムクロマトグラフィーにより精製・単離した。NMRスペクトルやMSスペクトルの解析によりそれぞれの構造を下記のように決定し、新規オカラミン類緑体であったのでオカラミンEおよびFと命名した。両化合物はともにピロロインドール部分がオカラミンDと異なる化合物であり、オカラミンAからBへの生合成中間体と考えられる。 2)オカラミン類のアゾシノインドール部分とピロロインドール部分はいずれもトリプトファンとイソプレンから生合成されることが容易に推定される。そこでこれを確かめるためにAK-40株をオカラでの培養し、^<13>Cでラベルした標識化合物の取り込み実験を行った。しかしながら、いずれの化合物についても有意な取り込みは認められなかった。一般に固体培養での取り込み実験は困難であるので、今年度はオカラにかわる液体での生産培地を検索し、取り込み実験を接続する。
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