研究課題/領域番号 |
05660132
|
研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
高橋 幸資 東京農工大学, 農学部, 助教授 (30163257)
|
研究分担者 |
服部 誠 東京農工大学, 農学部, 助手 (40221501)
|
キーワード | starch / whey protein / beta-lactoglobulin / neoglycoconjugate / functional improvement |
研究概要 |
先ず、澱粉粒の基本的構造が維持された低修飾度のカルボキシメチル化澱粉(CMS)を調製した。次に水溶性カルボジイミドを用いて分離ホエー蛋白質(WPI)と共有結合させ、ホエータンパク質結合澱粉粒ハイブリッドの調製を行った。加熱糊化後、CBBで染色性が認められたことからハイブリッド形成を確認することができた。また、抗β-LGモノクローナル抗体を用いた競合法ELISAによりCMSに結合したネイティブなβ-LGを検出することができた。さらに、反応前後のタンパク量を定量した結果、ハイブリッドは約5.8%のタンパク質を含んでいることが明らかとなった。 得られたハイブリッドの機能について以下のように検討した。すなわち、膨潤度については、加熱後顕微鏡観察を行った結果、きわめて限定的であることが明らかとなり、タンパク質が澱粉粒のまわりに皮膜状に結合していることが示唆された。溶解度については、著しい低下が認められた。DSCにより熱的性質の解析を行なった結果、ハイブリッドの糊化温度はCMSより約10℃高く、熱安定性の向上が認められた。また、ハイブリッドは老化しにくく、低温における安定性の向上が認められた。ハイブリッドのα-アミラーゼおよびβ-アミラーゼによる消化性について検討した結果、ハイブリッドは、加熱前、加熱後ともにCMSと比べ消化性が著しく低く、難消化多糖としての機能、すなわち、食物繊維としての機能を有することが期待された。さらに、蛍光滴定法によりハイブリッドはレチール結合能を有することを明らかにすることができ、結合させたタンパク質からの機能付与を達成することができた。 以上のように、本研究により、ホエータンパク質の結合によって意図的な澱粉の機能改変を達成することができた。
|