胡麻リグナンの主成分であるセサミンの免疫機能に及ぼす影響に対する_<alpha>-トコフェロールの相互作用をまず通常の栄養実験に用いられるSprague-Dawley系ラットで調べたところ、明確な応答は得られなかった。そこで、免疫グロブリン応答が敏感なBrown-Norway系ラットを用いて検討した。セサミン、_<alpha>-トコフェロールあるいは両者をそれぞれ0.5%レベルで含む飼料で3週間飼育した結果、セサミンの効果は_<alpha>-トコフェロールとの併用でより明確となった。すなわち、本研究費で購入したガスクロマトグラフを用いて各種組織リン脂質の脂肪酸組成を測定したところ、アラキドン酸の割合が低下し、リノール酸との比から求めた不飽和化指標が低下した。この結果、肺のロイコトリエンC_4濃度は有意に低下し、アナフラキシーの改善に有効であることが示唆された。しかし、脾臓においては影響は認められず、もう一つの代表的ケミカルメディエーターであるプロスタグランジンE_2の血漿濃度にも影響はなかった。一方、脾臓のヘルパーおよびサプレッサーT細胞の割合をセサミン、_<alpha>-トコフェロールはともに低下させたことから、免疫応答の亢進を抑える可能性が示された。血漿中の各種免疫グロブリン濃度に対しては、これらの成分は特徴的な影響を示し、とくに併用した場合にはIgEおよびIgGの産生を抑える傾向にあった。これらの結果はいずれもセサミンと_<alpha>-トコフェロールの相乗効果を指摘するものである。さらに、マイトゲンで刺戟した脾臓細胞あるいは肥満細胞によるロイコトリエンB_4産生のHPLCによる簡便測定法を開発し、in vitroでの影響因子のスクリーニングに応用できるようになった。
|