研究課題/領域番号 |
05660144
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
白畑 實隆 九州大学, 農学研究科, 助教授 (90154377)
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研究分担者 |
立花 宏文 九州大学, 農学研究科, 講師 (70236545)
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キーワード | 動物細胞生産性増強 / プロモーター活性化 / ガン遺伝子 / ras / ElA / CMVプロモーター / ヒトインターロイキン-6 / 遺伝子増幅 |
研究概要 |
動物細胞の組換えタンパク質生産性を増強するために、ガン遺伝子産物による特定のプロモーター活性化作用を利用して細胞の組換えタンパク質の生産性を増強する系、Oncogene Activated Production(OAP)システムを開発し、組換えタンパク質高発現細胞株の育種を試みた。 まずOAPシステムの有効性を一過性発現実験で検討したところ、明らかにガン遺伝子産物による生産性増強効果が確認された。つぎにBHK‐21細胞株に各種ガン遺伝子をdhfr遺伝子とともに導入し一段階の遺伝子増幅を行ったところ、c‐Ha‐rasガン遺伝子を導入したとき、ヒトサイトメガロ前初期プロモーター制御下でのヒトインターロイキン-6(hIL‐6)の生産性が約35倍まで増強され、この効果はElAガン遺伝子を導入することによりさらに10倍増強された。他のc‐fos、v‐jun、v‐myb、そしてc‐mycガン遺伝子にはc‐Ha‐rasガン遺伝子との相乗効果は見られなかった。このc‐Ha‐rasとElAガン遺伝子の生産性増強効果について検討したところ、c‐Ha‐rasはプロテイン・キナーゼCを介してNF‐κBの転写活性化を促進しており、ElAはc‐Ha‐rasに依存した転写活性化作用に関与していると推定された。また、他のヒト型組換えタンパク質、例えばエリスロポエチン、顆粒球コロニー刺激因子、モノクローナル抗体などの発現においてもc‐Ha‐rasによる生産性増強効果が確認された。 以上のように、OAPシステムを用いることにより組換えタンパク質高発現動物細胞株の育種を迅速かつ簡便に行えることが明かとなった。
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