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1994 年度 実績報告書

蛋白質栄養に由来する増殖シグナルの検討

研究課題

研究課題/領域番号 05660147
研究機関京都府立大学

研究代表者

金本 龍平  京都府立大学, 農学部, 助教授 (70147297)

キーワード成長 / ラット / マウス / 肝臓 / c^-myc / インスリン様成長因子(IGF-1). / 蛋白質栄養 / 初代培養肝細胞
研究概要

本研究は、生体の成長において蛋白質栄養が単に生体材料としてのみではなく、増殖シグナル、およびそのモジュレーターとしての機能を有するという仮説を実証しようとするものである。これまで、蛋白質としてガゼインとツエインを用い成長期ラット肝臓でのc^-myc、インスリン様増殖因子-1(1GF^-1)の発現とDNA合成の関わりを検討してきた。その結果、これらが蛋白質の栄養価に依存して変動することが明かとなった。本年度はこの現象の普遍性を確認することと、たんぱく質栄養の効果をさらに詳細に検討するために、扱いやすいマウスを実験動物として用い研究を進めた。成長期のマウスを無たんぱく質食で飼育し、肝臓のc^-myc mRNA量の変動を調べたところ同様無たんぱく質食摂取後c^-myc mRNA発現量が増加し3-4日後にピークに達した。次にたんぱく質含量と発現量および成長との関係を検討した。マウスを0.2.5,5,10,20,40%のカゼインを含む食餌でそれぞれ4日間飼育したところ、たんぱく質含量が10%以上ではどの群も正常な成長を示し、肝臓でのc^-myc mRNAの発現は検出することができなかった。一方、たんぱく質含量が5%以下で成長は抑制されるが、このとき抑制の程度が大きいほど、すなわち食餌たんぱく質含量が少ないほど肝臓のc^-myc mRNA発現量が高くなった。さらに無たんぱく質食で飼育した後にたんぱく質含量の異なる食餌を与えると、たんぱく質含量が10%以上の食餌ではc^-myc mRNA量は速やかに減少し12時間後にはほとんど検出できなくなるが、5%以下ではたんぱく質含量が少ないほど高いレベルに留まった。以上、肝臓のc^-myc mRNA発現は食餌のたんぱく質含量に依存して変化するが、たんぱく質含量が少なく成長が抑制されるほどその発現量が高くなることが明らかとなった。このように、c^-mycのような細胞増殖に密接に係わる遺伝子の発現が食餌たんぱく質により速やかに変動することはたんぱく質栄養が単に生体構成材料の供給だけではなく増殖のシグナル及びそのモジュレーターとしての機能を有することを強く示唆している。
なお、本年度はこのほかにアミノ酸混合食を用い栄養価の効果をさらに詳細に検討する予定であったが、申請者が年度途中に東京慈恵会医科大学医学部から京都府立大学農学部に赴任したため予定が遅れ現在検討中である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] 金本龍平: "成長期ラットにおける増殖関連遺伝子の発現変動と蛋白質栄養" 必須アミノ酸研究. 138. 9-12 (1994)

  • [文献書誌] Kanamoto,R.: "Expression of c^-myc and insulin-like growth factor-1 mRNA in the liver of growing rats vary reciprocally in response to change in dietary protein." :Joumal of Nutrition. 124. 2329-2334 (1994)

  • [文献書誌] Yokota,T.: "Effects of dietary protein DNA syntheis and expression of growth related geness in liver and kidney of growing rats." :Journal of Nutritional Science and Vitaminology. (in press).

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公開日: 1996-04-08   更新日: 2016-04-21  

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