研究分担者 |
野田 真人 北海道大学, 農学部・附属演習林, 助手 (00101238)
門松 昌彦 北海道大学, 農学部・附属演習林, 助手 (60158847)
滝川 貞夫 北海道大学, 農学部・附属演習林, 教授 (90001502)
氏家 雅男 北海道大学, 農学部・附属演習林, 教授 (20001422)
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研究概要 |
研究実施計画にしたがって行われた実験結果をまとめると、次の通りである。1993年4月トドマツ精英樹採種園の間伐にさきだって、間伐予定木の樹高、胸高直径、非破壊法による樹幹曲げヤング係数の測定を行った。試料は1クローン当たり5個、467クローンで,合計226本について、胸高部位より厚さ約5cmの円板を採取、直ちにビニール袋に入れて、-30度に貯蔵した。試験木は植栽22年の同齢で、保育過程、環境条件等は同一である。 1.植栽22年のつぎ木トドマツクローンの平均樹高6.9m,平均胸高直径13.3cmであった。 2.心.・辺材を含む容積密度数は342kg/m^3,平均年輪幅3.9mm,心材含水率141.2%,樹幹曲げヤング係数86.0t/cm^2であった。3.平均心材含水率141.2%は極めて高く、1クローンを除いて、いずれも100%をこえる、いわゆる水食い材であった。4.樹幹曲げヤング係数平均86t/cm^2は農林規格E90(80〜100t/cm^2)に属し、6等級区分中の中間で道南のスギに比べて、かなり高い値である。5.分散分析により材質はいずれもクローン間で有意であった。このことは各形質がクローンによって差があることを意味する。6.各材質の遺伝率(反復率)はヤング係数で0.13,容積密度数で0.46であって、いずれも低かった。このことは材質の各形質が環境の影響をうけやすいことを意味する。7.心材含水率と心材容積密度数、同含水率と同年輪幅の間に有意な相関が認められた。 8.樹幹曲げヤング係数と容積密度数、同ヤング係数と年輪幅の間には、有意な相関が認められなかった。これは今までの結果と異なるのは、今回のヤング係数測定の応力レベルが10kg/cm^2と小さかったことによる。9.以上各形質を調べた結果から、たとえ精英樹のクローン同志によって得られた優秀な種子から育成された樹木であっても、造林に際しては適地を選んで、適切な管理を行うことが必要である。
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