研究概要 |
安倍川上流,大谷崩地内の「一の沢」を対象にインターバル機構を内蔵したビデオ観測装置と圧力式水位計を設置し,土石流の流下状況ならびにそのハイドログラフの把握を試みた.今年度は,観測機器の設置の遅れや不備等で特に土石流の流動現象を明確にとらえることはできなかったが,次年度は観測システムと手法を再検討し,砂礫の流動現象に関する観測結果を蓄積するとともに,その機構について考察したい.今年度得られた知見を要約すると次のようである. 1.9月3日に発生した土石流について 土石流の発生時のハイドログラフは10分間雨量強度に敏感に反応し,流出の遅れは10分程度しかない.この時の最大の10分間雨量は,15.5mmを記録したがこの直後に水圧センサーが流失した. 2.観測期間内の雨量と土砂変動の対比 9月3日に発生した土石流は,約2万m^3の規模であった.観測基準断面の変化量は約28m^2であり,浸食深は約3mにも達する箇所がみられた.
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