研究概要 |
本年度は雨水のpH,導電率の観測方法の確立と,京都市域,そして比較のために自然環境が異なる他の地域に観測点を出来るだけ増やすことに研究の主力を注いだ。 観測には降雨を感ずると自動的に蓋が開いて降り始めから1mmごとの降雨を採取する市販の簡易雨水分取器を使用した。この装置の検定を行った結果,それ自体は概ね充分な品質管理がなされているものの取り扱い方によって採取量が大きく異なり,地域間,経時的な比較が困難になること,限られた地域の短期間の初期降雨の比較には適しているものの,広域的な長期に亘る観測にはデーターの解析が煩雑であること等が明らかになった。 京都市域に設けた20数カ所の測点の1993年梅雨期の結果から,市内各所に比べ周辺の宇治地区ではpHが高く,導電率が低く,中心部より市街地北部地域でpHが低く,導電率が高くなる傾向がみられた。一方,京都市内と徳山市,和歌山県白浜町,清水町の値を比較すると,各地で初期降雨のpHが3台の雨が観測されたが,深山の清水町では全体的にpHが高く,導電率が低く,京都は導電率が高かった。pH,導電率の経時変化は雨の降り方によって大きく異なるが,全般的にpHは降り始めから徐々に上昇し,導電率は低下した。その中で徳山はpHの変化が小さく,低い値を維持し,導電率の低下も小さかった。しかし一般的な傾向を得るためには,さらに観測を継続する必要があろう。
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