研究課題/領域番号 |
05660162
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
林学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
安藤 信 京都大学, 農学部, 助教授 (00133132)
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研究分担者 |
山さき 理正 京都大学, 農学部, 助手 (80263135)
金子 隆之 京都大学, 農学部, 助手 (20233877)
高柳 敦 京都大学, 農学部, 助手 (70216795)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1995
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キーワード | 雨水 / 酸性降下物 / 拡散 / pH / 導電率 / 京都市域 / 都市林 / 遷移 |
研究概要 |
京都市域の降水の特性を明らかにするために、降り始めから1mmごとに降雨を分取する採水装置を置いて、1993年に市街地北東部の京大構内と、北部郊外の上賀茂、府下の芦生、徳山市郊外、和歌山県白浜町、清水町で同時に降水のpH、ECを比較検討した。その結果、初期降雨のpHは各地で3台の値が観測され、降り始めからpHは徐々に上昇し、ECは低下した。奥山の芦生、清水町ではpHが高く、ECが低く、徳山は初期降雨のpHは低い値を維持し、ECの低下が小さいのに対し、京大構内は全体にECが高く、上賀茂と比較するとpHが高くなった。京都市市内および周辺20数カ所で1993年から4回、同時に降水を採取した結果、市内北部でpHが低く、ECが高く、東部も同様で、西部はpHが高く、中心部はECが高まってもpHは低下せず、名神高速道路に近い地域は局所的に最もpHが低く、ECが高かった。またpHが低い地域ではNO_3^-の割合が高まって降水が酸性化するのに対し、中心部ではNH_4^+が増加して酸性化がある程度抑制される可能性が示唆された。 市街地から北へ20kmの郊外に位置する八丁平の1980年に設定した12カ所の森林調査から、多くのクリ・ミズナラ林のうちミズナラ主体の林分では成長が良好であったが、クリが主体の比較的蓄積の大きい林分では上層を形成するクリ、コシアブラなどが多く枯死し、徐々にミズナラや冷温帯の天然林を構成する樹種におき変わる傾向がみられた。またこのような樹種を欠くクリ林ではしばらく低質な林分を維持するものと考えられた。 森林への酸性降下物の影響については森林がそれぞれの方向性を持って推移するため、直接的に因果関係を解析するのは困難である。降水の観測は出来るだけ多くの地点で長期的に観測する体制を構築し、市街地周辺の林分構造が異なる多くの林分で調査を積み重ねる必要がある。
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