研究概要 |
オオバヤシャブシの新鮮な葉900gを7Lのメタノールに室温下で1ヶ月間浸漬し、可溶分を抽出した。抽出液を減圧下に50℃以下で濃縮して87.3g(9.7%)の粗抽出物を得た。この70gに純水を加え、クロロホルムで分配抽出した。水層を更にイソブタノールで抽出し、クロロホルム画分(CHCl_3可溶分3.0%)、イソブタノール画分(i-BuOH可溶分1.5%)、水溶性画分(5.2%)の3画分を調整した。各画分は純水で500ppmまたは1,000ppmに調整して用いた。24℃、暗黒の条件下ではレタスの48時間後の発芽率はどの画分でもほぼ100%であった。しかし、幼根の伸長度はイソブタノール画分では劣り、水画分でも若干劣ったので、それらに根の成長阻害物質の存在が推定された。この場合、幼根の先端部約1/2〜2/3が褐色になった。イソブタノール画分をMCIゲルを用いたカラムクロマトグラフィーにより分画し、さらにTLCスティックによる画分を行い、強い活性画分を得た。この画分の^<13>C-NMRスペクトルからカテキンの存在が予想された。標品のD-(+)-カテキンの^<13>C-NMRスペクトルと一致した。この標品の1,000ppmの水溶液は、レタスの根に対して強い生育阻害作用を示した。実験後の処理液は、レタスの根に対して強い生育阻害作用を示さなかった。これらのことから、カテキンそものがレタスの根に対して強い生育阻害作用を持つと結論づけられた。 東広島産のマツノマダラカミキリ成虫を25℃16L-8Dで番にして飼育した。餌と産卵用の小丸太にはアカマツを用いた。これらはアカマツ純林およびオオバヤシャブシと混生していたアカマツから得た。カミキリ雌成虫の寿命、産卵前期間、日当たりの産卵数の各平均値は餌によって差がなかった。
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