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1994 年度 実績報告書

加圧蒸煮処理による木材の透過性改善に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 05660178
研究機関岩手大学

研究代表者

澤辺 攻  岩手大学, 農学部, 教授 (90003780)

キーワード蒸煮処理 / 広葉樹 / 熱分解 / 強度劣化 / 透過性 / 吸水性 / チロース
研究概要

透過性改善を目的とした蒸煮処理を広葉樹材に適応した場合の、材質劣化と透過性改善効果について、透過性の劣る広葉樹8樹種の心材を用いて、蒸気温度80〜140℃、蒸煮時間1〜4hの処理を行い検討した。得られた結果は以下の通りである。
1.蒸煮処理による熱分解は、乾燥材を同一温度で空気加熱した場合に比較して明らかに大きく、蒸気温度が120℃を越えると一層著しくなる。これは主としてヘミセルロースの加水分解によるもので、熱分解の程度は材面の暗色度で定量的に評価できることを明らかにした。
2.蒸煮処理による強度劣化は大きく、曲げ強度は蒸煮温度・時間にかかわらず未処理の85%以下となる。また曲げ弾性係数の低下は、120℃以下の蒸煮では僅かであるが、140℃蒸煮では蒸煮時間の増加とともに大きく減少し、4h処理では未処理の65%になる。
3.空気透過係数は、蒸煮処理により未処理(0.005〜0.259darcy)の1.5倍〜10倍に増加し、透過性改善効果が認められたが、蒸煮条件や樹種間での明らかな差は見いだせなかった。
4.蒸煮処理によって空気透過係数が増加するにもかかわらず、吸水量には未処理材との間に有意な差が認められなかった。これに流体である空気と水の性状差を考慮すると、蒸煮による透過障壁の破壊は部分的で、しかも微小であることが示唆された。
以上から、針葉樹材の透過性改善に有効性が認められた蒸煮処理は、広葉樹材の透過性改善に対してはほとんど効果が無く、しかも材質的劣化を助長することが明らかとなった。

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公開日: 1996-04-08   更新日: 2016-04-21  

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