セルロースおよびキチンの懸濁液中の微結晶の強力な定常磁場による配向について以下のことが明らかとなった。 1)セルロースもキチンも懸濁液中で磁場に対して分子鎖軸が垂直になるように配向する。また懸濁液を磁場中で乾燥させてフイルムとした場合も同様の配向が起こる。 2)磁場が強いほど微結晶の配向はよくなる。しかし17.5テスラの磁場を用いた場合でも微結晶が完全に配向することはなかった。一般に微結晶が長く、揃っている場合に配向度が最大になることが示唆された。 3)木材やキチンの短い微結晶の場合は、懸濁液状態よりも乾燥させてフイルムにした場合によく配向する。この点に関しては磁場の影響だけでなく、懸濁液自体の液晶的な性質が影響しているように思われた。 4)反磁性磁化率の計算結果は実験結果とほぼ一致した。ピラノース平面が磁場に対して垂直に配向する現象は、本研究が初めて明らかにした。 また反省点として、電場の利用と、材料設計についても検討したがよい成果が得られなかった。これについては今後の課題として引き続き研究を続けるつもりである。
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