研究概要 |
活性酸素や脂質過酸化物による酸化と、老化、発癌、動脈硬化、炎症等の疾患や食品の変質との係わりが指摘されている。昨今、これらの問題に関して“抗酸化"の観点からの研究が行われており、天然起源の優れた医薬品や抗酸化剤の開発が期待されている。 本研究では森林資源の高度利用法開発の一端として、樹木起源のフェノール性抽出成分類の抗酸化能を系統的に調べ、新たな成分を選別し、利用法を考えることにしている。 予備実験で検討したカバノキ科樹木の成分であるジアリルヘプタノイド(C6-C7-C6型成分)に加え、芳香環部分の酸素化パターンの違いも踏まえたC6-C6,C6-C1-C6,C6-C2-C6(スチルベン),C6-C3-C6(フラボノイド),C6-C4-C6,C6-C5-C6(ノルリグナン),C6-C6-C6(リグナン)型成分類、約80種類について抗酸化試験法、改良Willis法で実験し、結果を考察、評価した。 次いで、上記の試験においてα-トコフェロール(現在実用中の天然起源の成分)と同等あるいはそれ以上の抗酸化能を有するものについては1,1-ジフェニル-2-ピクリルヒドラジル(DPPH〓)によるラジカル補足能把握に関する試験を実施し、別途、考察、評価した。その結果、前者の方法で評価できたものは、若干、能力順位に変動はあるものの、前者での場合と同様の結果が得られ、一連の試験における結果を確認することとなった。さらに、現在、良い評価の得られた成分については、将来の具体的な利用法実施に備え、それぞれを含む樹木の蓄積量と成分含有量に関する資料を作成中である。 以上、当初計画した樹木のフェノール性抽出成分類の抗酸化能評価について予定通り、実験を終えることができたことを報告する。
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