繊維の複合によるボードの性能評価を試みた。同一比重のボードを木材繊維、木材小片から製造すると、一般に木材繊維は表面性、曲げ強さ、厚さ方向の寸法安定性などに優れるが、一方、木材繊維はクリープ特製に劣る傾向がある。本年度は、両者を複合化した場合のボードの物理的、機械的性質に及ぼす小片形状、小片構成の影響を検討した。 1.実験方法 供試材料として、(1)スギ材より切削加工したフレークをハンマーミルで細化した木材小片、(2)スギ材ストランド小片、(3)針葉樹木材繊維を用いた。比重0.7、PFレジン添加率10%、マット含水率12%、熱圧温度180℃の製造条件でエレメントおよび構成の異なる各種のボードを製造した。材質の評価方法として、プレートせん断試験、常態曲げ試験、湿潤曲げ試験、はく離試験を行ない、厚さ方向のスプリングバックを測定した。2.結果 (1)常態曲げ性能は表層に木材繊維を配置した三層ボードが各種混合ボードよりも高い値を示した。これは、表層の木材繊維が熱圧成形時に十分な圧密化をもたらすことが主要因であることが明らかとなった。(2)耐久性の指標となる煮沸処理後の曲げ強度は、木材小片のみのボードが最も優れていた。(3)常態はく離強さは木材小片の増加とともに増大する傾向が見られた。(4)煮沸処理後のはく離強さは木材繊維を表層に有するボードの方が木材小片を表層とするボードよりも優れていた。(5)ストランドは優れた強度を提供することが確認できた。 3.提言 日本の原料事情にあった木質ボードとしては、スギ材をストランド化して強度を増加させることが可能である。しかし、表面性を重視した評価に対しては表層への木材繊維の利用が物性的に有利である。
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