構造用途を目的とした高性能の木質ボードの開発を目的として、複合ボードを製造し、機械的性質とクリープ挙動におよぼす木材繊維、木材小片の混合比、木材小片形状、ボード層構成の影響を評価した。 1)木材小片と繊維の複合効果 単層ボードでは木材ファイバーと木材小片の混合率による曲げ強さの変化は見られなかったが、曲げヤング係数は増加する傾向を示した。煮沸処理後の曲げ強度残留率は木材小片の混合率の増加により増加傾向を示した。これは、ファイバーの場合、単位面積あたりの接着剤塗付量が少なくなるためと考えられる。 複合ボードの曲げクリープ挙動 単層ボードではファイバーに木材小片を添加することで、ボードの曲げ相対クリープが減少し、特にストランド小片で大きい効果を示した。これは平坦な大型切削片は小片間のずれ破壊を抑制するためである。 3層ボードでは表層に木材繊維を用いたボードが大きい相対クリープを示した。ファイバー50%、シェイビング50%から構成される2種類の3層ボードならびに単層ボードでは、いずれのボードでもストレスレベルの増加により相対クリープは上昇した。また、表層にファイバーを用いた3層ボードは他のボードに比べ、相対クリープが比較的高く、ストレスレベルの増加に伴う相対クリープの上昇が他の2種類よりも著しいことが認められた。これは、表面ファイバーの緻密化により曲げ強さは高くなるが、ヤング係数がそれと同程度の増加を示さないため、初期たわみに対する負荷レベルが高くなるためと解釈できる。 曲げ性能比(MOE/MOR)と相対クリープの関係を10種類の供試複合ボードについて検討した。複合ボードの相対クリープは曲げ性能比と密接な関係を持ち、曲げ性能比の増大とともに直線的に減少した。この結果から、複合ボードのクリープ性能予測には曲げ性能比がひとつの指標となることが明らかになった。
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