構造用途を目的とした高性能の木質ボードの開発研究の一環として、3種類のエレメントを用いて複合ボードを製造し、機械的性質とクリープ挙動に及ぼす木材繊維、木材小片の混合比、小片形状、ボード層構成の影響を評価した。 1)木材小片と繊維の複合効果 単層ボードでは木材ファイバーと木材小片の混合率による曲げ強さの変化は見られなかったが、曲げヤング係数は増加する傾向を示した。2時間煮沸処理後の曲げ強度残留率は木材小片の混合率の増加により増加傾向を示した。これは、ファイバーの場合、単位面積あたりの接着剤塗付量が少なくなるためと考えられる。 単層ボードのはく離強さは混入率25%では減少しその後混入率の増加とともに強度が増していく傾向が見られた。これはエレメント間の接触面積、絡み合い、熱圧時の変形状態の変化などが理由として考えられている。 ファイバーを表層に用いたボードではファイバーのみのボードよりも35%〜40%ほど曲げ強さが向上している。曲げ強さが向上している。曲げヤング係数についても、5割〜8割の向上が見られた。表層にファイバーを用いたボードでは表層の高比重化が進行する。これは圧密の過程で、ファイバーの圧密化が相対的に容易であること、表層の方が熱伝達が速いため一般のボードに見られる比重分布よりも顕著な高比重層が形成されたものと思われる。 2)複合ボードの曲げクリープ挙動 単層ボードではファイバーに木材小片を添加することで、ボードの曲げ相対クリープが減少し、特にストランド小片で大きい効果を示した。これは平坦に切削された大型切削片は小片間の接触面積が大きく、小片間のずれ破壊が抑制されるためである。 3層ボードではボード表層に単位面積あたりの接着剤が少ない木材繊維を用いたボードが木材小片を用いたボードに比べ、大きい相対クリープを示した。またファイバーボードに比べてファイバーと木材小片の3層化することによってクリープを抑制できることが示された。単層ボードではストレスレベルの増加により相対クリープは上昇した。 曲げ性能比(MOE/MOR)と相対クリープの関係を10種類の供試複合ボードについて検討した。複合ボードの相対クリープは曲げ性能比と密接な関係を持ち、曲げ性能比の増大とともに直線的に減少した。この結果から、複合ボードのクリープ性能予測には曲げ性能比がひとつの指標となることが明らかになった。
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