研究概要 |
本年度は補助金交付の最終年度であり、主としてとりまとめを行った。 本研究はハモ、スズハモ、マアナゴ等沿岸域に出現する有用ウナギ目魚類レプトケファルス幼生の消化管内容物を詳細に明らかにし、その食性に季節的あるいは地理的変化があるかどうかを検討する。さらに、天然で採捕した幼生を飼育して、投餌実験を行い、その餌の評価を幼生の生残率や栄養状態などから試み、ウナギ目魚類の浮遊仔魚の生態と種苗生産に関する基礎的知見を得ることを目的とした。 土佐湾、八代海、延岡湾および駿河湾で採集されたウナギ目魚類レプトケファルス幼生の消化管内容物を調査したところ、供試魚の約50%の消化管から尾虫類が脱ぎ捨てたハウスと尾虫類の糞粒が見い出され,尾虫類起源の有機懸濁物質が沿岸域に生息するこれら幼生の主要な餌料となっていることが明らかになった.また、定性的には幼生の消化管内容物に季節的あるいは地理的変化は認められなかった。 飼育実験に供するレプトケファルス幼生は、イワシシラス漁の漁獲物に混獲されるものを用いている。延岡湾のシラス漁業船に乗船し、生きた幼生の採集を試みたが、平成7年は全国的なイワシシラスの不漁年で、出漁日数も少なく、飼育実験に耐えるような状態の良い幼生を得ることはできなかった。
|