コイのalphaグロビン遺伝子(No.3)プロモーターをCATアッセイ用ベクタープラスミドに連結し、ヒトの血液系細胞であるK562細胞株およびコイの鰭由来細胞であるGF細胞株に導入した。導入したプロモーターの活性がアクチビンAにより誘導されるかを調べたところ、K562細胞株ではプロモーター活性に上昇が認められたが、GF細胞株ではプロモーター活性の上昇は認められなかった。このことから、コイのalphaグロビン遺伝子も血液系細胞であれば、アクチビンAによりプロモーター活性が誘導されることがわかった。 4種類の魚類の培養細胞株にネオマイシン耐性遺伝子をコードしているpSTneoを導入したところ、ネオマイシン耐性細胞が4種類それぞれの細胞株から得られた。ネオマイシン耐性細胞からDNAを抽出しサザーンブロットハイブリダイゼーション解析を行ったところ、ネオマイシン耐性遺伝子は細胞のゲノムに組み込まれていることがわかった。このことからネオマイシン耐性遺伝子は魚類培養細胞においても有用なマーカー遺伝子は魚類培養細胞においても有用なマーカー遺伝子であることが確認できた。 ティラピアの卵巣由来細胞株TO-2にコイalphaグロビン遺伝子を導入し、遺伝子が転写されるかをノーザンハイブリダイゼーションで調べたところ、コイalphaグロビン遺伝子が転写されていることが確認された。このことから、コイのalphaグロビン遺伝子のプロモーターは非血液系細胞でも認識され転写される機能を有していることがわかった。 ふ化直後のコイからRNAを抽出し、RT-PCRによりalphaグロビン遺伝子cDNAを増幅した。この増幅DNA断片の塩基配列を決定したところ、既知のコイalphaグロビン遺伝子と全く異なるタイプのalphaグロビン遺伝子ファミリーに属するものであることがわかった。このことから、コイのalphaグロビン遺伝子も他の高等真核生物と同じく、発生段階によって転写される遺伝子が異なることが示唆された。
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