研究概要 |
カテプシンB,H,Lをコイ筋肉・肝膵臓からそれぞれ800μg,100μg,500μg得ることができた。そのうちカテプシンLのN末端アミノ酸組成を15残基まで決定した。精製したカテプシンB,Lをウサギに免疫し、それぞれの抗血清(ポリクローナル抗体)を調製した。さらに抗原カラムクロマトに供し、それぞれの特異IgGを作成した。カテプシンHは精製量が少なかったため、その抗体を作成することはできなかった。 コイ腹腔マクロファージの採取方法を検討した結果、コイの腹腔に5%カゼイネートを18ml注入し、4,5日後腹腔浸出細胞を採取するとマクロファージが大量に採取できることがわかった。その細胞をCO_2インキュベータにて2時間培養し、非接着細胞を洗い流せば全細胞の約90%がマクロファージでることがわかった。このマクロファードは培養液中で、少なくとも48時間細胞は生きていることがわかった。 培養コイ腹腔マクロファージにアイソトープを取り込ませ、特異抗体を用い、カテプシンB,Lの生合成とプロセッシングを検討した。その結果,カテプシンBは約42kDaのプロ型酵素として合成され、ついで60分後に30kDaの一本鎖成熟酵素に変換された。一方カテプシンL、Hは作成した抗体との結合力が弱く、パルス-チェイス実験では明確な結果は得られなかった。しかしながら、ポリクローナル抗体を用いたイムノブロッティング法によりプロ型酵素と成熟型酵素の推定を行った。その結果、カテプシンLは42kDaのプロ型酵素として合成され、ついで、30kDaの一本鎖成熟型酵素に変換されることが推定された。また、カテプシンHは44kDaのプロ型酵素で合成され、27kDaの一本鎖型成熟型酵素に変換されることが推定された。
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