研究課題/領域番号 |
05660235
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
境 正 宮崎大学, 農学部, 助教授 (60136794)
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研究分担者 |
山口 登喜夫 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教授 (30134745)
村田 寿 宮崎大学, 農学部, 教授 (60041018)
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キーワード | ビリルビン / 生体内脂質過酸化 / ブリ / alpha-トコフェロール / アスコルビン酸 / グルタチオンペルオキシダーゼ / サブスタンスX / 黄疸 |
研究概要 |
1.養殖場より定期的に購入したブリと天然のブリについて、組織中の2-チオバルビツール酸値(TBA)、alpha-トコフェロールおよびアスコルビン酸含量およびスーパーオキシドジスムターゼおよびグルタチオンペルオキシダーゼ活性を調べた。養殖場で与えている飼料中のalpha-トコフェロールおよびアスコルビン酸含量が低い養殖場のブリは、TBA値は高く、両酵素活性も高かった。また、その養殖場では黄疸が発症した。 2.黄疸発症ブリ組織中において組織中のアスコルビン酸含量が極度に低く、多くの試料魚血漿中においては検出限界以下のものがほとんどであった。組織中のアスコルビン酸含量の低下は、黄疸発症の原因の一つである可能性が高い。 3.黄疸ブリ血漿中のsubstance Xについては、おそらくピロール環が2個つながった化合物であり、原因活性酸素種については、推定の域をでないがスーパーオキシドの可能性が高いと思われる。 4.飼料中のalpha-トコフェロールを変化させて飼育したブリについて、そのTBA値は飼料中のalpha-トコフェロール含量と逆比例の関係にあった。また、アスコルビン酸含量については同一となるようにしたにも関わらず、alpha-トコフェロール含量の多い飼料を給餌した区の魚の方が高かった。 4.フェニルヒドラジンおよび黄疸原因菌投与試験において、血漿中のビリルビン含量は血漿中のTBA値と正の相関関係を示したが、ヘモグロビン含量、ヘマトクリット値および赤血球数とは相関関係は認められなかった。したがって、ビリルビンの生理機能を考慮すると、黄疸の発症の主因は、急激な酸素ストレスであると考えられる。 5.EIBS感染ギンザケについては、スーパーオキシドジスムターゼ活性の変化等より、病魚においては生体内脂質過酸化が進行していることが明らかになった。また、血漿中のビリルビンはおそらく生体内脂質過酸化進行の抑制と何らかの関係があると思われた。
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