研究課題/領域番号 |
05660238
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
水産化学
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
長久 英三 北里大学, 水産学部, 助教授 (50228053)
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研究分担者 |
菅野 信弘 北里大学, 水産学部, 講師 (40169800)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1994
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キーワード | D-アミノ酸 / D-アスパラギン酸 / D-アラニン / D-アミノ酸オキシダーゼ / D-アスパラギン酸オキシダーゼ / 海藻 / 生理機能 / ラセマーゼ |
研究概要 |
生物界に於けるD-アミノ酸の分布や生理機能は微生物および高等動植物において研究されているが、海藻についてはD-アミノ酸の存在そのものが知られていなかった。本研究は海藻におけるD-アミノ酸、特にD-アスパラギン酸(D-Asp)およびD-アラニン(D-Ala)の分布を明らかにし、その生理機能について検討したものである。 海藻におけるD-アミノ酸の分布:海藻にD-AspおよびD-Alaの存在を始めて確認し、両アミノ酸が海藻に広く分布することを明らかにした。D-Aspは特に褐藻に多く、緑藻に少ない傾向が見られた。D-Alaは緑藻、褐藻、紅藻に平均的に分布したが、その含量は褐藻に高いものが多い傾向が見られた。 D-アミノ酸の生理機能:褐藻ヒジキを試料としてD-Asp含量の季節的変動、部位別変動を調査し、その生理機能を推察した。本アミノ酸はヒジキの初期成長期である秋から春にかけて増加し、枯渇期である初夏から初秋にかけて減少した。また、発芽や成長にかかわる付着根、茎部、生殖器床で含量が高く、葉部で低かった。これらの結果から、D-Aspはヒジキの初期成長に関与していることが推察された。 D-アミノ酸の代謝:海藻におけるD-アミノ酸の代謝機構を明らかにする目的でD-AspおよびD-Alaの酸化酵素、ラセマーゼ、およびトランスアミナーゼの活性を褐藻ヒジキ、マツモ、紅藻フクロフノリについて検索したところ、極微弱ながらヒジキおよびフクロフノリに両アミノ酸酸化酵素の活性を認めた。しかしながら、D-アミノ酸の合成を触媒するラセマーゼやトランスアミナーゼの活性は検出できなかった。 今後、人工的な環境下での藻体の培養を通してさらに詳細な生理機能の解明を検討する必要がある。
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