研究課題/領域番号 |
05660242
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
平野 綏 茨城大学, 農学部, 教授 (10007784)
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研究分担者 |
安藤 光義 茨城大学, 農学部, 助手 (40261747)
柏 雅之 茨城大学, 農学部, 助教授 (40204383)
中島 正道 茨城大学, 農学部, 助教授 (30250989)
田中 学 東京大学, 農学部, 教授 (70012028)
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キーワード | 組合製糸 / 伊那社 / 昭和恐慌 / 経済更生 / 高級格生糸 / 天竜社 |
研究概要 |
大正末年における長野県下伊那郡組合製糸は、共同販売を目的とする連合会「伊那社」を設立し、単位組合の零細性を補完し、同時に高級糸生産体制の確保に努めていた。 しかし、昭和恐慌期になると、糸価の不安定性と荷受側の経営的破綻等により、未配分金増大、仮渡金の過渡しなど組合製糸経営の根幹にかかわる危機をかかえるようになっていった。このことは、組合毎の経営成績の差、ひいては配分成績の差となって反映し、連合会の存立基盤をもゆるがす問題であった。当然に、かつての組合製糸経営の主要基盤であった中堅養蚕農家層はこぞって経営危機の展望に立たされ、恐慌下の経済更生運動の主要課題の一つとなった。 かくして、下伊那組合製糸は販売組合としての連合体から、小工場統合による経営合理化をせまられることになった。このことは単なる統一工場の建設問題にとどまらず、同時に大規模営業製糸との技術的平準化という課題の解決をせまられるものであった。 さらに、高級格糸生産への市場対応が求める多条操糸機の導入は、原料繭の統一という養蚕部門での長年の懸案をも一挙に要求されるものであり、それはとりも直さず、中堅養蚕農家の経営的弱体化の現実と対立した。 このような課題をかかえつつ、組合製糸の再編は天竜社の設立へと推移していったのである。 政府は、昭和恐慌によって決定的打撃を受けた蚕糸業に対し、なお外貨獲得のための戦略的価値を維持し、同時に経営的破綻に頻した自作農の産繭処理機能という側面からも、天竜社設立に対する手厚い金融上の利便を与えた。それは、とりも直さず、せまり来る戦時体制へ備えた農村の更生と国家的な再編組織化への中核的農民エネルギーの涵養を目指すものであった。
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