1.農業部門における雇用管理問題は、労働力調達の場面から多くの問題に直面する。雇用依存型経営は、企業的経営ではあるが資本規模は零細で、また自然相手の産業故、労働の繁閑は避けがたく、労働力の周年雇用は容易でない。そのため、労働の繁閑と地域労働市場を睨みながら、調達可能な労働力を見極め、労働力確保に務めている。男子労働力は底辺下請並み以上の雇用条件で確保され、主婦労働力は、量販店と同程度の条件でされている。 2.高原野菜で有名な南佐久郡川上村では、内発型地域作りが情報発信され、それが地域魅力となって、レタス収穫期における大都市からのアルバイト雇用が可能になっている。夏場のピーク時には、村全体で2000人の雇用労働力が調達され、農家一戸当たりでは、多い農家が10人前後、通常は4-5人のアルバイト労働力を導入。日当は1万円(9000円+1200円)が相場である。アルバイタ-が行う作業は主に収穫・運搬・定植作業である。レタス切りと箱詰めは、ほとんどを経営主と妻、後継者が行うことが一般的であるが、大規模農家の場合、ベテランの雇用者にレタスの切り取り作業を分担させるケースも少なくない。 3.愛知県幸田町は筆柿の産地で、選果場が雇用労働力により支えられていることから、生産者は生産に専念している。選果は消費者の多様性に応じ、機械によるS玉の袋詰め商品や、贈答品、特別ブランドなど、筆柿を素材に開発された新商品に対応する選果、荷作りが行われている。荷の搬入、役員の検査に続き、50人ほどの雇用者が作業工程に対応して適切に配置され、流れ作業により、選果・荷造りを行っている。雇用形態は時間給扱いで、選果機が運転される9月から10月の2ヶ月間に限られる。そのため、雇用対象は高齢者や主婦などに絞られ、男は町人材センターから、女は支部毎の割当て数を役員の責任で確保している。
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