研究課題/領域番号 |
05660250
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
永木 正和 鳥取大学, 農学部, 教授 (90003144)
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研究分担者 |
浅見 淳之 帯広畜産大学, 畜産学部, 助手 (60184157)
金山 紀久 鳥取大学, 農学部, 講師 (00214445)
佐藤 俊夫 鳥取大学, 農学部, 助教授 (00150508)
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キーワード | 市場競争 / 市場効率 / 取引意用 / DEA(Date Envelopment Analysis) / 地場加工 / 新食糧法 / クォータ売買 |
研究概要 |
市場開放の時代に相応しい市場システムの再構築を視座に置きつつ、主要な農産物と生産資材について、その特徴的な市場競争の構造、流通形態や取引慣行、政府の市場介入等を実態調査した上で、市場効率性の現状評価、およびその改善方向を理論的、実証的に解明した。具体的には以下のような研究成果を得た。 1.野菜共販の販売戦略と流通効率:北海道の3つの野菜産地の実態調査を行った。生産者、卸売業者の双方が負担している「取引費用」が流通効率を下げている関係を立証した。産地(農協)に求められる改善方向としては、大量注文への対応と、規格統一した大きなロット販売対応であることを明らかにした。 2.青果物卸売会社の経営効率と市場効率:全国105社の中央卸売市場青果物卸売会社を規模分類し、DEA法で販売数量と販売金額を指標とする経営効率を計測した。従来は規模の大きい卸売会社が効率的であると考えられていたが、本分析から規模間での経営効率の相違は明白ではなく、個別分散が大きいことが明らかになった。この経営効率格差に規格・品質別の分荷の行程が関与していることが示唆された。 3.地場加工畜産物のマーケッテング:市場効率性を生産者の付加価値の大きさで捉えた。岡山県蒜山酪農協でのジャジ-種牛乳による乳製品の地場加工・販売の事例を分析した。ジャージィ種の成分特性を生かす等で製品差別化した商品開発、または遠隔地小売店直販で販路を拡大してきた付加価値戦略を明らかにした。 4.米の流通実態と課題:秋田県大潟村の稲作農家・農協の対応動向の実態分析から、食管法の流通管理規制の形骸化、品種・食味選好の強まりを指摘した。その上で、本年から施行の新食糧法の流通効率化の課題を考察した。在庫調整機能が高まり、緒手続きが簡素化して市場効率の改善が期待される反面、需給調整機能は低下しそうである。少なくとも生産者出荷段階の一元集荷・販売が不可欠であるという帰結を得た。 5.生乳流通、配合飼料流通の市場効率改善課題:乳業界の生乳需給調整機能が低いために生産者側の計画生産による需給調整が不可欠である。しかし、従来の個人枠割当方式は市場効率を阻害している。「生乳クォータ」売買による市場効率化を検討した。厚生経済学分析から、当面は地域内部での限定的な枠売買が効果的であることを明らかにした。飼料市場については、コーン・スターチ原料への「横流れ」防止規制が流通効率性を阻害している事実を指摘し、いわゆる流通過程の「規制緩和」の具体方策を提示した。
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